研究関連
アメリカの大学は中間試験シーズンである。この1年でAIの性能が大幅に向上した事で、今年から試験方式を変更した授業も見かける。典型的なのは自宅試験(レポート試験)から教室試験(筆記試験)への変更だが、全てのレベル・科目において教室試験が優勢に…
まるで新しい血液型のような題名だが、似たような要領で人間を2つのタイプに分類してみようという試みである。これを思いついたきっかけは、同じくアメリカでPhDをやっている親友との会話である。自分は学期中は生産的に過ごしやすい一方長期休みに苦戦しや…
今期は大学院の数理政治学の授業のTAをやっている。自分にとっては初めてのTAなので、どのようなTAセッションが良いTAセッションなのだろうかと考えながらやっているが、一つ思いついたのが「塾のようなTAセッションが良いTAセッションなのではないか」とい…
前回の投稿をふまえ、1ヶ月間ロイター英語版を購読してみた。そこで感じたのは、「見出しを読める速度が日本語と英語とでは段違いであるため、日本語の方が効率的に読みたい記事を見つけられる」という事である。前回計測してみたように見出しを読む速度には…
努力を続けるためのコツとして、「習慣化」という事がよく言われる。一度習慣化してしまえば努力の精神的コストが下がり、ますます努力を続けやすくなるという話である。だが習慣の中にも、「ペースメーカーに頼ったものと頼らないもの」があると思う。例え…
前回、自分なりに正解と思しきモーニングルーティーンに辿り着いた話を紹介した。国際ニュースを読み始めた部分以外はこれまでも行っていた事だったので既に内容が固まっていたが、国際ニュースについては新しい習慣という事で、まだまだ試行錯誤の途中であ…
モーニングルーティーンと言えば芸能人がスキンケアをしたりランニングしたりする様を想像するのが一般的だが、研究者のモーニングルーティーンとはいったいどのようなものだろうか。私は最近ようやく自分自身の答えに辿り着いた気がするので、上手くいけば…
news.yahoo.co.jp 先日、AIが人間以上の英語力を持つようになった今、我々人間が英語とどう向き合うべきかという事について投稿したが、これは英語に限った話ではない。先月行われた共通テストでは、上の記事によればAIの得点率が東大文科一類のボーダーライ…
研究者を志す学生は内向的な人が多いので、ネットワーキングに対して苦手意識を持つ人も少なくないと思う。私自身もそうである。しかし残念ながら、ロチェスター政治学部のとある若手の先生曰く、「就活においてネットワーキングは論文の次に重要」との事で…
大学生の頃は休日という概念がなく、土日も朝から晩まで図書館に通い詰めていた。これが可能だった理由としては、①若かったから、②同じ勉強でも平日は授業の予復習、週末は自由な読書という形でメリハリがとれていたから、といった理由が考えられる。当時の…
最近はAIの英語力が急成長しているので、英語に多大な時間と労力を投じてきた人たちにとっては気が気でない状況だろう。どうやらChat GPTはネイティブレベルの英語力を獲得しつつあるようである。既にほとんどの日本人はChat GPTの英語力には勝てないだろう…
先月から経済理論セミナーに参加し始めた。自分が研究上読む論文の多くは専門である政治学の理論だが、隣接分野として実体的関心を共有している実証政治学、方法論を共有している経済理論は、視野を広げるために研究外で触れる機会を増やそうと考えた。実証…
自分ももうすぐTAが始まり、教える側に回る時期に差し掛かっている。基本はFormal Theoryの授業を希望しようと思っているが、1科目はサブスタンスの授業のTAもしておきたいと思っている。そこで、サブスタンスの授業が持つ特有の難しさについて少しばかり考…
オンライン英会話を始めたのは大学1年生の時なので、もうすぐ8年が経過する。最初の頃はサービスが提供する様々な教材を試していたが、更新のない教材はすぐに底をついたので、結局毎日記事が更新されるデイリーニュースという教材に落ち着いた。それ以外…
夏休みにいかに生産性を維持するかというのは、大学院生・研究者共通の課題だろう。とりわけ3~4か月という長大なアメリカの大学の夏休みは、自らを鞭打ち続けねばならない精神的修養の期間である。このような苦境を前に我々ロチェスター大学政治学部に編…
Jean Tiroleがロチェスターにやってきた。Tirole教授は規制政策に関する業績で2014年にノーベル経済学賞を受賞しており、今回も「デジタル時代のプライバシー」と題した企業や政府によるデータ利用への規制についての講演だった。規制を行うのは政府なので、…
昨年も指導教官の選び方について投稿したが、その後の経験を踏まえてより考えがまとまったと思うので、改訂版を投稿したいと思う。 以下は、正副に関わらず指導教官をお願いする先生を選ぶ上で私が重要だと考える要素である。 ①指導熱心であること ②研究関心…
今期は数理政治学・ミクロ経済学・経済数学の授業を受けている。数理政治学は履修、ミクロ経済学・経済数学は聴講にしたのだが、「履修にするか聴講にするか」という問題は結構悩ましい問題だと思う。もちろん必要最低単位は取らなければならないので、それ…
大学院は学部に比べて学生が少なく、ロチェスター大学政治学部のように小さなプログラムともなれば、教員も大学院生も各30人程度という小さなコミュニティになる(クラスで言えば2クラスくらい)。これだけ小さなコミュニティなのに、一切見た事も話した…
今回の投稿はいつもより専門的なので、ほとんど誰も読まない事を覚悟して投稿したいと思う(誰も読まないのはいつもの事ではないかというツッコミは妥当だが野暮である)。だがこの話は数理政治学を勉強している人なら必ず一度は抱く疑問だと思うので、若干…
「Formal Theory=方法論」というのはよくある誤解だが、この根源にはアメリカ政治学と比較政治学(アメリカ以外の政治)を区別するというアメリカの政治学の特徴が関係していると思う。その理由を説明するために、少し遠回りしてFormal Theoryという分野を取…
現在は実証研究中心の時代と評される事が多い。だが経済学においては理論研究中心の時代を経て、現在は実証研究がキャッチアップしている時代と考えれば、長い目で見ればこれは必ずしもアンバランスなトレンドとは言えないと思う。一方、体系的な理論をさほ…
計量・数理政治学者であれば読む文献は英語が主となるため、効率的に英語を読む戦略を見つける事は重要である。また交換留学や大学院留学においてもリーディングをする時間はかなりのウェイトを占めるから、リーディングにうまく対処する事が留学の充実を決…
私はこれまで学部交換留学、修士課程留学、博士課程留学と3度に渡って留学をしており、なおかつ交換留学ではひたすらリーディングとレポート執筆を繰り返す文系的な留学を、修士留学では逆にProblem Setと試験が中心の理系的な留学を経験した。したがって、…
国内政治の数理を学ぶ者にとってScott GehlbachのFormal Models of Domestic Politicsはバイブル的存在だろう。この本は国内政治のモデルをほぼ網羅する内容となっており、第2版では1~7章で民主主義、8章で権威主義、9章で体制転換のモデルを紹介している*1…
これまでの投稿は、アメリカ政治学博士課程受験における情報の少なさに対する危機感から、政治学専攻の学生が少しでも留学しやすくなればとの思いで執筆してきた。したがってこれらの投稿はやがて多くの方の目に触れる事を期待して、役立ちそうな情報に絞っ…
数理政治学の勉強は学部レベルは自習も可能だが、大学院レベルは授業を通じた学習が効率的である。授業の意義は大きく3つあり、1)教科書を読むペースメーカーになる (予習)、2)難しい箇所を分かりやすく解説してくれ、分からない場合も質問できる (講義)、3…