Rochesterで数理政治学を学ぶ

アメリカ政治学博士課程留学サンプル

研究関連

Jean Tirole講演

Jean Tiroleがロチェスターにやってきた。Tirole教授は規制政策に関する業績で2014年にノーベル経済学賞を受賞しており、今回も「デジタル時代のプライバシー」と題した企業や政府によるデータ利用への規制についての講演だった。規制を行うのは政府なので、…

指導教官選び(改訂版)

昨年も指導教官の選び方について投稿したが、その後の経験を踏まえてより考えがまとまったと思うので、改訂版を投稿したいと思う。 以下は、指導教官をお願いする先生を選ぶ上で私が重要だと考える要素である。 ①指導熱心であること ②オープンに議論ができる…

リベラルな聴講か履修か

今期は数理政治学・ミクロ経済学・経済数学の授業を受けている。数理政治学は履修、ミクロ経済学・経済数学は聴講にしたのだが、「履修にするか聴講にするか」という問題は結構悩ましい問題だと思う。もちろん必要最低単位は取らなければならないので、それ…

始業式代わりのポスターセッション

大学院は学部に比べて学生が少なく、ロチェスター大学政治学部のように小さなプログラムともなれば、教員も大学院生も各30人程度という小さなコミュニティになる(クラスで言えば2クラスくらい)。これだけ小さなコミュニティなのに、一切見た事も話した…

Divide-the-Dollar ModelとSpatial Model

今回の投稿はいつもより専門的なので、ほとんど誰も読まない事を覚悟して投稿したいと思う(誰も読まないのはいつもの事ではないかというツッコミは妥当だが野暮である)。だがこの話は数理政治学を勉強している人なら必ず一度は抱く疑問だと思うので、若干…

「Formal Theory=方法論」という誤解

「Formal Theory=方法論」というのはよくある誤解だが、この根源にはアメリカ政治学と比較政治学(アメリカ以外の政治)を区別するというアメリカの政治学の特徴が関係していると思う。その理由を説明するために、少し遠回りしてFormal Theoryという分野を取…

応用理論とは何か

現在は実証研究中心の時代と評される事が多い。だが経済学においては理論研究中心の時代を経て、現在は実証研究がキャッチアップしている時代と考えれば、長い目で見ればこれは必ずしもアンバランスなトレンドとは言えないと思う。一方、体系的な理論をさほ…

留学お役立ち情報②リーディングの戦略

計量・数理政治学者であれば読む文献は英語が主となるため、効率的に英語を読む戦略を見つける事は重要である。また交換留学や大学院留学においてもリーディングをする時間はかなりのウェイトを占めるから、リーディングにうまく対処する事が留学の充実を決…

留学お役立ち情報①英語漬けをやった方がいい場合・やらない方がいい場合

私はこれまで学部交換留学、修士課程留学、博士課程留学と3度に渡って留学をしており、なおかつ交換留学ではひたすらリーディングとレポート執筆を繰り返す文系的な留学を、修士留学では逆にProblem Setと試験が中心の理系的な留学を経験した。したがって、…

Rochesterの講義群:国内政治の数理

国内政治の数理を学ぶ者にとってScott GehlbachのFormal Models of Domestic Politicsはバイブル的存在だろう。この本は国内政治のモデルをほぼ網羅する内容となっており、第2版では1~7章で民主主義、8章で権威主義、9章で体制転換のモデルを紹介している*1…

自己紹介(ロングバージョン)

これまでの投稿は、アメリカ政治学博士課程受験における情報の少なさに対する危機感から、政治学専攻の学生が少しでも留学しやすくなればとの思いで執筆してきた。したがってこれらの投稿はやがて多くの方の目に触れる事を期待して、役立ちそうな情報に絞っ…

数理政治学の勉強法

以下で定番の教科書を挙げている。学部レベルは主に日本語文献を挙げており、大学院レベルでは英語文献を挙げている。これは、慣れない分野はまず日本語で勉強した方が頭に入って来やすいが、基本を日本語で理解していれば発展的内容を英語で学ぶのもスムー…