「恩師との初対面」とは何事だと思われたと思うので訳を説明すると、今日お会いしたのは私がシカゴの修士課程でお世話になった先生で、パンデミック中のためオンラインのまま修士課程を終えた私はZoomやメールでしかやり取りした事がなく、直接お会いしたのは今回が初めてという事である。先生はこのブログアカウントのアイコンにもしているバイブル的教科書の著者で、私がシカゴ大学に進学する理由となった先生である。そのため先生がロチェスターに講演に来ると決まってから、ずっと「初対面」を楽しみにしていた。
まずは、先生が自分の事を認識してくれていたのが嬉しかった。(私のことを忘れていたが1体1のミーティングが決まり慌てて私とのやり取りを見返したという可能性はあるが、そうだとすれば、出張前の忙しい時に自分のためにわざわざその労力を払ってくれた事を喜ぶことにしよう。)修士課程をオンラインで終えた私にとってシカゴでできた人脈というのは先生くらいなので、念のため用意していた「実は私元教え子です」という悲しい自己紹介を披露せずに済んだのは幸いだった。
ミーティングに向けては、教科書の新版、自分の研究アイディア、シカゴの新しいPolitical Economyプログラム、(先生は東欧がご専門なので)ウクライナ・ロシア戦争についてなど様々な話題を用意していったのだが、ビジターとの初めてのミーティングという緊張からかあまりにも早口で話してしまい、用意された30分間の終了を待たずにそれらのトピックを早々に使い果たしてしまった。素直にそう伝えると先生は笑って最後に握手してくれ、私は部屋を後にした。
あまりにも短時間だったので(自分でそれに拍車をかけたのだが)やり取りの中から実質的な収穫を見出すのは難しいが、強いて言うならシカゴのPolitical Economyプログラムのカリキュラムの詳細が気になっていたのでそれを聞けたのは良かった。だがそれよりも、先生とはキャリアを通じて長期的に付き合いを続けたいと考えているので、先生との関係を一歩前進させることができたという事が最大の収穫だろう。次お会いする時は時間がオーバーしそうになるほど白熱した議論ができるよう、研究者として成長しておきたいと思う。