Rochesterで数理政治学を学ぶ

アメリカ政治学博士課程留学ガイド

数理政治学を勉強できる大学院

博士課程

Political Economy*1プログラムではStanford、Princeton、Chicagoが強い。この3校は特別にプログラムを作っているだけあってカリキュラムが充実していて教授陣の層も厚く、したがって就職実績も良い(Chicagoはまだ新しいプログラムなので実績は乏しいが、その他の点から見て今後の期待値はStanfordやPrincetonに匹敵する)*2

政治学部で専攻する場合は、Columbia、NYU、Rochesterが強いアメリカ以外で強いのはLSEくらいだが、博士前期課程が1年しかないため既にある程度研究の準備が整っている人向けである。私の意見では、数理政治学に対する確信が強いなら以上の大学が良い一方、まだ十分確信が持てていない場合は、数理政治学が専攻できてかつ全般的に強い(総合ランキングで上位の)大学に行っておくのが安全策だと思う。他にも数理政治学(Political Economy, Formal Theory)の専攻が可能な大学はいくつかあるので、その中で関心が近い先生が2人以上いる大学を選べばよい。

 

修士課程

数理政治学が強いのは圧倒的にアメリカだが、アメリカの修士課程は学費が法外で奨学金を獲得しても払いきれない場合が多い。数理政治学のカリキュラムの充実に加えて金銭的な現実性も加味すると、LSE (Political Science and Political Economy), Chicago, NYU, Rochesterの4校がお勧めである。LSEは学費が比較的安く、奨学金を獲得できれば現実的な水準である。私のいたChicago (MAPSS)は元々の学費は高いが大学からの学費減免が充実していて、人によっては全額免除される人もいる。Chicagoにはもう一つMACRMというプログラムがあって、こちらでは公共政策博士レベルの計量・数理(経済学博士と政治学博士の間くらいのレベル)を1年間勉強する。既に計量・数理のバックグラウンドには自信がありそれをさらに強化したいという人にお勧めのプログラムで、こちらも学費が減免される場合がある。NYUのPre-Ph.D. TrackとRochesterでも、枠は限られているが学費が減額されうる。留学が叶わなかった場合にお勧めなのは、方法論のカリキュラムが充実している早稲田である。交換留学も有力な選択肢だが、学部生しか受け入れていない大学が多いため、留年して学部生として交換留学するという選択肢も検討に値する。

*1:アメリカではPolitical Economy 政治経済学と言うと、実体的な意味と方法論的な意味がある。実体的にはInternational Political Economy 国際政治経済学とComparative Political Economy 比較政治経済学を意味している。方法論的な意味ではFormal (Political) Theory 数理政治学 及びそれに基づいた実証の事を指し、ここでは数理政治学+αくらいの意味だと思えばよい。詳細に興味がある人は、Ashworth, Berry, and Bueno de Mesquita (2021) Theory and Credibility: Integrating Theoretical and Empirical Social Science を読んでみてほしい。この本に書かれているアプローチが、方法論的な意味でのPolitical Economyである。

*2:なおChicagoは権威主義国のモデルを専門とする先生が4人もいるという異色の構成であるため、権威主義国に感心がある人にはこれ以上ないプログラムである。