Rochesterで数理政治学を学ぶ

アメリカ政治学博士課程留学サンプル

2025-01-01から1年間の記事一覧

AI時代の中間・期末試験

アメリカの大学は中間試験シーズンである。この1年でAIの性能が大幅に向上した事で、今年から試験方式を変更した授業も見かける。典型的なのは自宅試験(レポート試験)から教室試験(筆記試験)への変更だが、全てのレベル・科目において教室試験が優勢に…

生産性型:R型とF型

まるで新しい血液型のような題名だが、似たような要領で人間を2つのタイプに分類してみようという試みである。これを思いついたきっかけは、同じくアメリカでPhDをやっている親友との会話である。自分は学期中は生産的に過ごしやすい一方長期休みに苦戦しや…

塾としてのTAセッション

今期は大学院の数理政治学の授業のTAをやっている。自分にとっては初めてのTAなので、どのようなTAセッションが良いTAセッションなのだろうかと考えながらやっているが、一つ思いついたのが「塾のようなTAセッションが良いTAセッションなのではないか」とい…

初APSA

初めてAPSAに参加した記録を残しておきたいと思う。基本的な要領はMPSAと同じで、今回はPresidents and Executive Politicsセクションでのプレゼンだったが、それ以外の時間は数理政治学セクションでプレゼンを聴きつつなるべくネットワーキングを試み、空き…

2025年夏学期振り返り

ロチェスターで3度目の夏だが、今年は去年の反省を活かしてあらゆる策を講じた。まず「夏は報告する学会・ワークショップがないため短期的目標に乏しい」という問題に対しては、6月末に期末ペーパーの締切、7月半ばにDissertation Prospectus Defense (博…

政治学専攻のモーニングルーティーン (後編)

前回の投稿をふまえ、1ヶ月間ロイター英語版を購読してみた。そこで感じたのは、「見出しを読める速度が日本語と英語とでは段違いであるため、日本語の方が効率的に読みたい記事を見つけられる」という事である。前回計測してみたように見出しを読む速度には…

ペースメーカーと習慣

努力を続けるためのコツとして、「習慣化」という事がよく言われる。一度習慣化してしまえば努力の精神的コストが下がり、ますます努力を続けやすくなるという話である。だが習慣の中にも、「ペースメーカーに頼ったものと頼らないもの」があると思う。例え…

政治学専攻のモーニングルーティーン (中編)

前回、自分なりに正解と思しきモーニングルーティーンに辿り着いた話を紹介した。国際ニュースを読み始めた部分以外はこれまでも行っていた事だったので既に内容が固まっていたが、国際ニュースについては新しい習慣という事で、まだまだ試行錯誤の途中であ…

政治学専攻のモーニングルーティーン (前編)

モーニングルーティーンと言えば芸能人がスキンケアをしたりランニングしたりする様を想像するのが一般的だが、研究者のモーニングルーティーンとはいったいどのようなものだろうか。私は最近ようやく自分自身の答えに辿り着いた気がするので、上手くいけば…

2025年春学期振り返り

今期は博士前期課程最後の学期で、期末に学部全体の前で3rd-year paperをプレゼンした。プレゼンの出来については質疑応答のさばきを含め個人的に手ごたえがあり、指導教官達からも良かったと言ってもらえたので、成功と言えるのではないかと思う。これまで…

ミーティング記録⑧ Professor Ken Shotts

私の1本目の論文のテーマであるPandering(大衆迎合政策)研究の開拓者であるKen Shotts教授が来訪された。実はその記念碑的研究のもう一人の著者であるBrandice Canes-Wrone教授ともちょうど1年前にお話しさせて頂いたので、2年連続で年度末に一番の楽し…

ミーティング記録⑦ Professor Navin Kartik

Kartik教授はColumbiaの経済理論家(Colombiaではない)で、現在私が書いている権力分立に関する論文の最も重要な先行研究の著者である。自分にとって一番重要な研究者と話せる奇跡的な機会などそうないものだが、実はロチェスターに来てからこれが2度目で…

APSA初採択

今年のAPSAの”Presidents and Executive Politics” divisionに2nd-year paperが採択された。APSAは今年が初めてで、昨年のMPSAに続く2回目の学会報告となる。MPSAは3,4年生も多く報告するが、APSAの学生は5,6年生が中心で、先輩からもselectiveと聞いていた…

ミーティング記録⑥ (Incoming) Professor Theo Serlin

Theo SerlinさんはStanford PhD、Princetonポスドクを経て、この秋からKing's College LondonでAssistant Professorになられる方である。ご専門はIPE, CPEで、理論と実証を組み合わせた研究をされている。いつも通りまずは大学院生数人で一緒に朝食をとり、…

AI時代の大学の存在意義

news.yahoo.co.jp 先日、AIが人間以上の英語力を持つようになった今、我々人間が英語とどう向き合うべきかという事について投稿したが、これは英語に限った話ではない。先月行われた共通テストでは、上の記事によればAIの得点率が東大文科一類のボーダーライ…

ネットワーキングの重要性

研究者を志す学生は内向的な人が多いので、ネットワーキングに対して苦手意識を持つ人も少なくないと思う。私自身もそうである。しかし残念ながら、ロチェスター政治学部のとある若手の先生曰く、「就活においてネットワーキングは論文の次に重要」との事で…

週休1日制か週休2日制か問題

大学生の頃は休日という概念がなく、土日も朝から晩まで図書館に通い詰めていた。これが可能だった理由としては、①若かったから、②同じ勉強でも平日は授業の予復習、週末は自由な読書という形でメリハリがとれていたから、といった理由が考えられる。当時の…

AIと人間の英語力は、代替的か補完的か

最近はAIの英語力が急成長しているので、英語に多大な時間と労力を投じてきた人たちにとっては気が気でない状況だろう。どうやらChat GPTはネイティブレベルの英語力を獲得しつつあるようである。既にほとんどの日本人はChat GPTの英語力には勝てないだろう…

2024年秋学期振り返り

昨年秋学期は経済理論のトピック科目を1つ履修、1つ聴講する事で理論学習を集大成しつつ、政治学部の要件であるComprehensive Literature Surveyを書くという学期だった。他の大学ではComprehensive Examという博士前期課程の終わりに行われる試験を通じて…